軍事演習が狙った「三つのターゲット」

今回の演習には陸海空、そしてミサイル部隊であるロケット軍までもが動員されました。このタイミングでの演習実施には、三つの要素(ターゲット)があります。すなわち、台湾に向けて、日本やアメリカに向けて、そして中国国内に向けての三つです。

1. 台湾に向けて:頼政権への強烈な警告

台湾の頼清徳総統は、中国を「境外敵対勢力」と呼びました。「境外(中国は別の国)」かつ「敵対(敵である)」という認識は、中国にとって最も許しがたい越線です。演習は、この頼政権に対する直接的な軍事的圧力です。

2. 日米に向けて:高市発言と過去最大の武器売却への反発

高市総理の「存立危機事態」発言、そしてアメリカ・トランプ政権による過去最大規模(約1兆7000億円)の対台武器売却承認。これら日米の動きに対し、中国は演習を通じて「干渉への反撃」という実力を誇示してみせました。

3. 中国国内に向けて:ナショナリズムの喚起と軍の引き締め

戦後80年が経っても解決できない「台湾統一」という課題を国民に再認識させ、中華民族の悲願であることを強調する狙いがあります。同時に、汚職で幹部が相次いで失脚し、動揺が走る人民解放軍内部に対し、トップである習近平氏の権威を知らしめ、組織を引き締めるという内政上の事情も見え隠れします。