■故安倍元総理は増税分を子ども予算に 関係者明かす舞台裏
故安倍晋三元総理は消費税を8%から10%に引き上げる際、“これまで消費税増税による増収分は主に「国の借金返済」に充てられていたが、教育無償化など「少子化対策」へと使い道を変更する”として、衆議院解散に打って出た。
そして安倍政権は大勝。2019年10月から消費税は10%に引き上げられ、その増収分を財源として3~5歳までの子どもの保育料の無償化、待機児童解消などが行われた。
当時の税の使い道変更に伴う解散の舞台裏を知る安倍氏の元側近に、その内幕を聞くことができた。
「安倍さんは、国民に増税分の“還元”を実感してもらいたいと思っていた」
在任期間中、胸の内は消費税増税に後ろ向きだったという安倍氏。
2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げた際は、消費の冷え込みが政府の想定よりもはるかに厳しく、これは安倍氏にとって大きなトラウマとなった。
だからこそ10%への引き上げ時、安倍氏は考えていた。
「増税による“還元”を国民に実感してもらうため、必要なことは何か」
そう考える中で、安倍氏は増収分で賄う国の借金返済の割合が多すぎること、そして社会保障の充実のための使い道が高齢者向けの政策に偏っていることを問題視し、「もっと現役世代に振り向けるべきだ」という思いを募らせていたという。
同時に安倍氏は、子ども政策について“バラマキ”のような一時的な支援ではなく、恒久的な支援でなければ意味がないという考えももっていた。だからこそ、消費税増税による大きな財源の確保に頼ることも必要だったのだろう。
この消費税の「使い道変更」について、国の借金を減らしたい財務省からは水面下で相当な反発もあった。
ただ安倍氏は、「財務省は財務省の仕事をすれば良い。ただ、決めるのは政治だ」という一貫した考えを持っていたという。

















