所得制限については国民民主党など、野党から撤廃を求める声が多く上がっているが、自民党内の一部でも撤廃すべきとの意見は根強くあるのだという。ただ、所得制限をなくして児童手当を拡充するためには、とてつもなく高いハードルが・・・
「児童手当の拡充には少なくとも3~4兆円規模の財源が必要で、実現には消費税の増税は避けられない。もしくは、見合う規模の新税創設が必要だ」
同幹部はこう断言した。
「消費税増税となると反対勢力は大きいが、総理には戦う決断をしてもらわなければならない。それが今の政権でできるかどうかは分からないが・・・」
■「子ども予算確保のため消費税増税」の現実味
子ども予算のための消費税増税の必要性にふれるのは、この幹部だけではない。
ある自民党の幹部は私たちの取材にこう話した。
「子ども予算の倍増には増税しかない。防衛費増額で増税よりも、子ども政策で増税のほうが筋が通る」
さらに現役の閣僚の1人も、子ども政策拡充のための財源について「消費税増税しかない」と断言する。
消費税は私たちの生活にとって最も身近な税の一つ。その増税は国民にとって、さらには時の政権にとっても痛みを伴う“鬼門”となってきた。
ましてや岸田政権は2022年10月以降、相次ぐ閣僚の“辞任ドミノ”、統一教会をめぐる問題などで支持率の低迷が続く。しかも物価上昇に賃金が追いつかない中、防衛費増額のための増税も確実となっている状況だ。この上、消費税まで上げるという判断は、そう簡単にできることではないはずだ。
ある政府関係者は「消費税は1%上げるだけで2兆円程度の税収になる。欧州のように少しずつ上げていけばいい」と話す。
子ども政策のための財源であり、かつ一度の上げ幅が小さければ、インパクトは最小限に抑えられるという。さらに、こう続ける。
「これまで消費税の増税というと、赤字国債の削減の意味合いが強かった。大切なのは、増税分がペイされている、という感覚を国民に持ってもらえるような政策を、総理が打ち出せるかどうかだ」
増税分がペイされる、つまり「払った税金分の恩恵が受けられている」という実感を国民が得られれば、理解が得られるのではないかという考えだ。
こういった考えに基づいて、過去に子ども政策を打ち出した政権がある。

















