服役した過去がある千房の社員「チャンスをくれたから今いられる」

お好み焼きチェーン大手「千房」の社員・月山祐輝さん(42)。実は窃盗を繰り返して2回逮捕され、約3年間、服役していた過去があります。
(千房 月山祐輝さん)
「正直(刑務所に入所した)当初はよくある自暴自棄になっていました。もう別にどうでもいいし、適当に生きていればいい、死ぬなら死ぬで別にいいしと。(受刑者の)正直9割は希望を持っていないと思います」
そんなとき、刑務所内で、千房が過去を問わず採用していることを知り、応募しました。

月山さんは同僚に犯罪歴を隠さず働いています。もらったチャンスを生かし、前向きに仕事に取り組む日々です。
(千房 月山祐輝さん)
「自分はラッキーだったなと。そういうのに出会えた。周りの人がそうやって環境を作ってくれたし、チャンスをくれたから今いられるわけで、少なくとも今ここにいる1人(私)は助けられているので」
「反省は1人でできるが、更生は1人ではできない」

元受刑者の積極採用を長年続けている千房の中井政嗣会長は、再犯を防ぐためには働く場が何より重要だと話します。
(千房 中井政嗣会長)
「我々社会としてせなあかんことあるじゃないですか。起こってからで、だいたい遅い。後手後手に回っている。だからその前に手を打たないとあかんことをみんなしていない。反省は1人でできますけども、更生は残念ながら1人ではできない。周りの力がいるんですね。周りの支えが、周りの協力・支援が、励ましがいるんです」
千房が発起人の取り組みで、企業・法務省・専門家らが、就労・教育・住居などの視点で刑務所出所者の社会復帰を応援する「日本財団職親プロジェクト」というものがあります。千房や串かつだるまのほか、建設・介護関係の企業など計178社が参加していて、2026年には1500社に増やしたいということです。
法務省によりますと、再犯者のうち7割以上が無職。立ち直りを支える取り組みは社会全体に、そして、ひとりひとりに求められています。