警察が明かす、ベルトラッキによる“偽装”の手口

ベルリン州警察 美術犯罪捜査班 ルネ・アロンジュ主任捜査官
「あれがベルトラッキの贋作です」
アロンジュ氏は、ベルトラッキ氏の事件の際に押収した贋作に残る“偽装工作の1つ”を明かした。

アロンジュ主任捜査官
「とても興味深い点があります。絵が透けて見えるんです。彼はキャンバスをこすり落として、絵をその上に描いたんです」
贋作をつくった流れはこうだ。まず作品がつくられたのと同時期の絵画を入手する。そして元々描かれていた絵を削り、その上に新たに絵を描いたとみられる。
アロンジュ主任捜査官
「この事件は欧州の犯罪史上において、最大規模の贋作スキャンダルです。“贋作の数”、“犯罪収益”、“転売による損害額”からも明らかです」
今も捜査を進める理由について、アロンジュ氏は「被害の拡大を防ぐためだ」としている。

アロンジュ主任捜査官
「裁判以降、新たに50点ほどの贋作が見つかっています。捜査を続けることは、新たな贋作を見つけ、所有者に絵画の足跡を伝える、事件の真相を明らかにするためにも、続けなくてはいけないのです」
これまでにベルリン州警察が、把握している贋作は、約100点。そのうち、30点以上の所在が分かっていない。今後もベルリン州警察は、各国の捜査機関とも協力し捜査を進めていく方針だ。
世界を漂流するベルトラッキ氏の贋作。今もどこかで「本物」として展示され、それを前に心を動かされている人がいるかもしれない。

ヴォルフガング・ベルトラッキ氏
「博物館で自分の贋作を見たよ。誰にも言わないけど。“知らぬが仏”なんだよ。芸術とは、“本物”で“価値”あると信じること。教会に行くのと同じさ」














