奪われた“白衣姿”を見る時間

しかし、その願いはある日、暴力的に踏みにじられました。
「本来であれば、母は白衣を着た姿をずっと、ずっと見られるはずでした」

准看護師として働き始め、親孝行ができるようになった矢先、1978年に曽我さんは、ミヨシさんともに拉致されました。

「その時間は、1年ちょっとしかありませんでした」
演台でそう語る曽我さんの声は震えていました。

これからもっと楽をさせてあげたかった。もっとその笑顔を見たかった。
その無念さが、会場の空気を重く、悲しく包み込みました。