「ひとみには優しい看護師さんに」母の願いと晴れ姿

中学3年生の半ば、曽我さんはある決断をします。
「母が休む暇もなく働いていたので、少しでも家計が楽になるように」と、准看護師の学校に通うことを決めたのです。

それを聞いたミヨシさんは、とても喜んでくれたといいます。

普段、仕事を休むことなどほとんどなかったミヨシさんが、曽我さんの戴帽式の日だけは仕事を休み、式に出席してくれました。ナースキャップを授かる娘の姿を、母はどんな思いで見つめていたのでしょうか。

近所の人たちには、嬉しそうにこう漏らしていたそうです。
「ひとみには、優しい看護師さんになってほしい」

それがミヨシさんの口癖でした。
親として、娘の自立と成長を願う、ささやかで幸せな未来予想図でした。