国が進めた強制隔離と、島に閉ざされた二つの療養所
(中田敦子記者)
「ハンセン病はらい菌による感染症で、発症すると手足や顔の神経が麻痺するなどの症状が出ます。
かつてはらい病と呼ばれていましたが、現在はらい菌を発見した医師の名にちなんでハンセン病と呼ばれています。
しかし、その感染力は極めて弱く、蔓延することもありません。1941年にはアメリカで『プロミン』という特効薬が登場し、現在は完治する病気です」
「それにもかかわらず、国はかつて、この病気に対して強制隔離政策を実施しました。その歴史は1907年の明治時代に遡ります。定住先のない患者を隔離する法律が制定され、屋外で生活する患者が療養所に隔離されることになりました。
そして1931年、この法律は改正され、全ての患者を対象とした強制隔離が始まります。この時期に、瀬戸内市にある長島愛生園をはじめとする国立療養所が次々と作られました。当時は『恐ろしい伝染病』とされ、都道府県では患者を見つけ出し隔離を進める『無らい県運動』が強力に推し進められたのです。
驚くべきことに、特効薬が登場し、ハンセン病が治る病気になった後も、国の法律が廃止される1996年まで、この強制隔離は続いていました」














