声の魅力を最大化する音作り

スペシャルドラマ『新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~』より

MAYUKOさんの音作りには、俳優の声を細かく分析する視点も欠かせない。

第1話にゲスト出演した木下晴香さんについては、ちょうど楽曲を作り始めるタイミングで彼女が出演していたミュージカル「アナスタシア」を観劇。そこで、自然と音域を分析していたという。

「舞台を見ていて、“一番きれいに響くキーはここだ”って分かったんです。その高さで曲を作ったら、本当にぴったりでした」。

この“最良のキーを探す作業”は、主人公を演じる阿部サダヲさんにも徹底された。阿部さんの歌声について、MAYUKOさんは「女性キー(一般的な女性が発声しやすい音の高さ)を楽に出せるほど音域が広い」と語る。その幅を正しく把握するため、阿部さんが参加するバンド・「グループ魂」の楽曲を毎日聴き込み、最も輝く音域を探ったという。

「一番かっこよく歌っていただけるキーを見つけたくて。グループ魂の楽曲を全部聴いて研究しました。今ならほとんど歌えます(笑)」。

俳優が無理なく、そして最も魅力的に歌えるポイントを見極める。その聴覚の鋭さは、長年の観劇経験と、作品ごとに行う綿密な“音の研究”によって磨かれたものだ。