求められたものを正確に読み解くために
彼女の創作姿勢を語るうえで欠かせないのが、その“研究熱心さ”だ。
MAYUKOさんが劇伴として参加した『不適切にもほどがある!』では、主人公がタイムスリップすることから、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年・アメリカ)を3回ほど見直し、使用されているシンセサイザーの音色を分析するところから始めたという。
依頼されたテイストを感覚だけで捉えるのではなく、その背景にある音楽文化をとことん掘り下げる。「“こんな感じ”で済ませるのではなく、可能な限り正確に理解したい。結局、生真面目なだけなんですけど、掘り下げれば掘り下げるほど、楽曲の説得力が増す気がするんです」と話す。
さらにMAYUKOさんは「“尾崎豊さんっぽく”、“ちあきなおみさんっぽく”と言われたら、できるかぎり全曲聴くようにしました。その中で“昭和歌謡っぽさはこのフレーズだな”と、解釈を合わせる作業をしていきました」と、磯山晶プロデューサーのリクエストと一致させていく作業を行った。
取材を通して見えてきたのは、音楽家である前に“研究者”でもある姿だった。














