「幼い息子に怒った」よみがえる後悔の念

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わずかな面会の機会で、健仁さんに早苗さんは言葉をかけ続けましたが、意識のない息子を前に、幼いころ息子に取った対応に後悔の念が襲ってきます。

(児島 早苗さん)
「大事にしていたけれど、2人目の年子です。つわりがひどく生まれるともっと大変でした。父親が夜遅く帰り、朝早く出かけなければない長い仕事だったので、2人の子育てワンオペで始まりました」

「そうすると、思うように動かない子供たちにみてて、イライラが始まります。そのうち怒ることが出てきました。子供を産んで親になると、必ず怒ります」

「子供を怒ると、その怒っている自分の声を聞いてエスカレートしていきます。『健くん、服ね、ここ首入れて、片方ずつ手出すんよ。ズボン片足ずつ足入れてね。幼稚園の準備、これとこれとこれやよ』」

「次の日から見ているとパジャマ着たまま、ゆっくり、くちゃくちゃくちゃくちゃ、いつまでもご飯食べてます。その姿見て我慢していますが、キレて怒鳴り始めます」

「やがて怒鳴るだけではなく、お尻を叩くことが出てきました。外へ出て叱かれない時、まだ幼い手の甲を2回つねったことがあります」

「そんなことが、意識のないと言われている息子の横に面会で会った時、全部よみがえってきたんです。謝りました。健ちゃん小っちゃいから1回、2回言われたってできへんのは当たり前やのに」

「怒ってごめん、怒鳴ってごめん、つねってごめん、お尻叩いてごめん。謝りました」

「皆さん、お願い2つ目。分かりますか、皆さんぐらいだったら、もう最近『ごめん』『ありがとう』素直に言えないと思います。私は本当に息子に言えませんでした。気づきもしていなかった」

「皆さん、相手に対し謝らないといけない。相手に対し謝れるのは今、自分が生きているからです。言わないといけない。あなたが生きているからです。伝えないといけない。相手が今生きていてくれるからです」

「どうか自分の大切な人に『いつもありがとう』『あの時、生意気言うてごめん』どうぞ、簡単な言葉です」