見えてきた“矛盾”
増税と減税、責任ある積極財政の両面が今回の税制大綱では出てくるということで、その思惑はどこにあるのでしょうか。
自民党・税制調査会のトップが、今までは“財政規律派”の宮沢氏から、小野寺氏に変わりました。小野寺氏自身の税制への考え方ははっきり出てきていませんが、総理の意向をより反映する人ではないかという見方があります。
トップが変わり、減税と増税のバランスはまだわからないなかで、見えてきた“矛盾”があります。
1つ目は、富裕層への課税強化案と、子ども向けNISA案です。富裕層への課税を強化する一方で、経済的に余裕のある層が利用しやすいNISAで優遇しようとしている。投資を増やしたいという考えと、取れるところから取ろうという考え方が全体で見たときに整合性を担保できるのか。
もう1つは、企業の設備投資への減税案です。
租税特別措置と言われるような、特定の企業もしくは特定の分野、特定の規模の会社を優遇するものは不透明で、無駄があるのではないか、特定の産業の優遇をしているのではないかという批判があります。高市総理は政府効率化省というものをつくるころで、無駄なものはなくしていくと発言していました。
元の考え方が別のとこから出てきている2つの案ですが、設備投資への減税も、特定の産業への不透明な優遇とみられる可能性もあります。
最後は、高校生の扶養控除縮小案と、児童手当や高校無償化案です。扶養控除とい自体が「所得の大きい人の方が得をするもの」とみなされ、それを少なくして給付へ移行していくのだという考え方があるといいます。
そうした考え方の一方で、児童手当を1回2万円給付したり高校無償化も進めるということで、子育てに関する政策の方向性が、まだ見えてきていません。
高市総理が本当に積極財政を実行しようとしているのか、現実路線で少し財政規律も意識し始めているのか、現状ではまだわからないと専門家は話します。
高市総理の信念にもとづく考えなのか、少数与党ゆえにやむを得なくなっているのか。私たちの税をめぐる議論について、今後も注視し見極めていく必要がありそうです。
(2025年12月15日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)














