300戸は最初のステップ 民間事業へもプラスを目指す
高柳キャスター:
不動産価格がぐっと上がっています。需要はあるけれども、供給がどこまで追いついてくるのかですね。

「フォーサイト」元編集長 堤伸輔さん:
提供予定が300戸だとすると、例えば4人家族で1200人しか受け入れることができないわけですから、このベースをどれだけ増やしていけるかだと思います。
この場合のミソは、東京都が半分ファンドに出資して、都としては別にそこに対するリターンを、極端な言い方をすればいらないです。
100億円のファンドというのは、現在9社加わっているという民間ファンドとしてはそんなに大きなものではないと思います。
そのため、大きなリターンを求めるというよりは安定したリターン。むしろ、リターンよりも民間にとっては企業のイメージアップ、東京都にとっては子育てのしやすい自治体イメージの向上を求める事業にすること。それが将来的に、東京都からの人口流出を減らして、結果的には住民税などが安定して入ってくる仕組みを維持することに直結するわけです。
そういうことを考えると、東京都は100億円を呼び水に儲けを求めず、民間企業にたくさん参加してもらう。問題は、それをどう拡散していくかのだと思います。
日比キャスター:
すでに民間で、賃貸の物件がたくさんある中で、この都のサポートにより安価な物件がたくさん増えるとなると、民間事業の圧迫に繋がりかねないと思ったのですが。

TBS報道局 社会部 寺島 記者:
一部でそういう不安の声もありますが、おそらく東京都としてはそこも含めて、民間企業だけでこの事業がさらに広がっていけるよう、この300戸を最初のステップとして構築し、今後民間にとってもプラスになる状況を目指しているのかなと思います。
日比キャスター:
どれだけ持続可能かどうかということが今後、ポイントになってきそうですね。
「フォーサイト」元編集長 堤さん:
これがうまくいくなら、首都圏、さらに近隣の都道府県にも広げていって、空き家の多い自治体もたくさんあるので、そういうのを活かすことに繋がられたらいいと思います。
あとは子育て世帯だけではなく、一人暮らしや学生、そういう人たちにも手を差し伸べられるようになるとベストだと思います。
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〈プロフィール〉
寺島学
TBS報道局 社会部 都庁担当
自宅はエレベーターなしの5階
堤伸輔さん
国際情報誌「フォーサイト」元編集長
BS-TBS「報道1930」ニュース解説














