新たな施設のコンセプトは、「やなせさんのルーツを感じられる場所」にすること。ドラマで使用した小道具の展示を予定していて、古民家の雰囲気を生かして、やなせさんの子ども時代の部屋が再現されるということです。

▼香美市 あんぱん室 徳久智哉 主査
「『やなせさんが学生時代、勉強しながら好きな絵を描いていた』という展示ができたらと思っています。『やなせ先生は、こんなところで育ったんだ』と」

1919年(大正8年)に生まれたやなせさんは、東京高等工芸学校工芸図案科(現:千葉大学)を卒業し、漫画家を目指しながら三越宣伝部でグラフィックデザイナーとして働いていました。その後、1953年(昭和28年)に退社してフリーとなり、舞台美術家、作詞家、放送作家として活動していました。

雑誌「PHP」で「アンパンマン」を発表したのは50歳の時(1969年)で、アニメ「それいけ!アンパンマン」が放送され爆発的な人気となったのは1988年、69歳の時でした。

香美市あんぱん室の徳久智哉主査は、新たな施設について、「代表作である『アンパンマン』を生むまでに時間がかかったので、そこまでの経緯を感じてもらえれば」と話しています。

新たな施設の総事業費は、古民家の耐震化や小道具の運搬費を合わせた、およそ2200万円です。費用の一部を募るクラウドファンディングも始まっていて、目標額は500万円です。

▼香美市 あんぱん室 徳久智哉 主査
「何もしなければ“一過性”で終わってしまう盛り上がりも、取り組みを続けることで『香美市の忘れられない財産』になると思って、ドラマが終わった後もやなせたかし先生の顕彰を続けたいです」

ドラマ「あんぱん」をきっかけとした盛り上がりを持続させようと始まった「古民家再生プロジェクト」。香美市は2026年5月のオープンを目指しています。