“俳優の表現を中心に置く”――3人のクリエイターが共有する制作哲学
『フェイクマミー』の撮影現場は、演出・撮影・照明の三者が同じ理念を共有することで成立している。演出を担当するジョン ウンヒさんは「俳優が持ち寄る表現をまず尊重する」という方針を軸に、事前のカット割りに固執しない。俳優陣の演技にできるだけ寄り添いたい気持ちを持っているのが特徴だ。
撮影監督の片村文人さんは、俳優の呼吸や間をそのまま画に残すため、「極力カメラを動かさない」ことを基本とする。写真家として日々磨いている感覚をもとに、作為的な動きを排除する判断を一貫して行う。
照明技師の太田宏幸さんは、スピードと正確さで撮影現場を支え、演出にかける時間を最大化する体制を整えている。ロケでは刻々と変わる太陽光を読み、室内ではオフィス設定の舞台が多数出てくるため、それぞれが違う会社であることが分かるように蛍光灯にフィルターを施すなど、空間ごとに異なる“色の設計”が必要となる。














