1年前のきょう、日本被団協がノーベル平和賞を受賞。代表委員の田中熙巳さんが世界に向けて核兵器の廃絶を訴えました。戦後80年となった2025年、被爆者が強く、強く願ってきた「核なき世界」は近づいたのでしょうか。

被爆者 故・山口仙二さん(1982年)
「命のある限り、私は訴え続けます。ノー・モア・ヒロシマ。ノー・モア・ナガサキ。ノー・モア・ウォー。ノー・モア・ヒバクシャ」

核兵器が何をもたらすのかを、その存在と証言で示し続けてきた被爆者たち。

日本被団協のノーベル平和賞受賞は、核兵器が二度と使われてはならないことを改めて世界に伝えました。

受賞に力を得て始まった被爆80年。

長崎原爆被災者協議会 田中重光 会長
「核兵器を無くしていく。核のタブーをもっともっと強くしていく。そういう年にしていきたい」

かつてない注目と期待が寄せられる中、被爆者らはこのチャンスを逃すまいと、これまで以上に動き、声をあげてきました。

しかし、トランプ氏が再び大統領に就任したアメリカは6月、「核の脅威を阻止する」としてイランの核施設を攻撃。

アメリカ トランプ大統領
「あの攻撃が戦争を終結させた。広島や長崎を例えにしたくはないが、本質的に同じもので、あの攻撃が戦争を終結させた」

強大な逆風に「核のタブー」はかき消されそうになっています。

被爆者 城臺美弥子さん
「失望。いくら叫んでも何の動きもないし、日本政府が」

長崎原爆被災者協議会 田中重光 会長
「いまの国際情勢を反映して、なかなか難しい面もある」

核問題の専門家は、ノーベル賞受賞で核の非人道性に光が当たった一方で核への依存を高める論拠にもされてしまったと指摘します。

長崎大学核兵器廃絶研究センター 中村桂子 准教授
「(核兵器が)いつ使われるかわからない、自国の防衛をもっと高めていこう。全く異なる結論、いま当たり前のように出てきてしまっている」