年金機構が差し押さえを取り消す、異例の事態になりそうです。

 (運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「一歩二歩、進歩はあったのかなという感じはします」

 訴状などによりますと、大阪府高槻市の運送会社「シーガル」ではおととし10月、経理を担当する男性社員による税金や社会保険料約5000万円の横領が発覚。

 法律では「犯罪の被害にあった場合、税金や社会保険料の納付を1年猶予する」と定められていて、税務署などが納付を猶予しましたが、年金事務所は納付の猶予を認めず銀行口座や会社の売掛金を差し押さえました。

 シーガルは年金事務所の差し押さえの結果、取り引き先の信用を失い、売上げが3分の1になったとして、差し押さえの取り消しなどを求め大阪地裁に訴えを起こすとともに、日本年金機構を管轄する厚生労働省の審査会に審査を申請していましたが…

 (厚生労働省社会保険審査会の裁決書)「原処分は適切、妥当なものではなく、取消しを免れない」

 審査会は5件の差し押さえのうち4件について、シーガル側の主張を認め、差し押さえを取り消す裁決を出しました。

 そして、12月9日、大阪地裁で行われた裁判。日本年金機構は厚生労働省の審査会の決定について「(審査会の)裁決を踏まえて対応する」と述べ、差し押さえを取り消す方針を示しました。

 一方、「裁決に対応したうえで反論したい」とも述べていて、これに対し、原告側は。

 (運送会社「シーガル」 村岡大典総務部長)「『裁決を踏まえる』は一種受諾だと思いますので、それは進展あったかなと思うんですけども、何を反論するのかちょっと疑問ですし、できることがあるならやってくださいという感じです」