「何もできなくても生きていてもいい」を受け入れる
両手・両足がギブスで身動きの取れない山口さんに対して、手術をした医師も、休みの日も問わず毎日山口さんのもとを訪れ、ギブスから出る指先を触っては『ちゃんと感覚がありますか?』と尋ねてくれたと言います。
(山口由美子さん)【画像⑥】
「何もできない私をこんなに大切にしていただき『何もできない私も生きていていいんだ』、、、自分を丸ごと無意識に受け入れていました」
病院での体験は、山口さんに大きな変化をもたらしました。
「子どもたちと向き合うとき、私は『ありのままを丸ごと受け入れる』自分に気づいたのです。以前は上から目線でアドバイスをしがちでしたが、事件後は『そんなことがあったの。嫌だったね、つらかったね』と、ただ気持ちに寄り添えるようになっていました」
「お母さんが変わったから」
母親が重傷を負った事件で、ショックで心が傷ついた子供たちが、その後元気を取り戻した時に、その理由を山口さんが尋ねたとき、子供たちから返ってきたのはこの言葉でした。家庭の空気は、以前とは全く違うものに変わっていったのです。
事件から1か月あまりが経ち、山口さんは佐賀県に戻りリハビリを続ける生活が始まりました。
しばらくして、報道などで事件を起こした少年の背景を知ります。














