お母さんを無理やり抱き起こして、「お母さん、ほらここにお骨あります。マサフミのために1本のお骨でいい、箸渡ししていきましょう」
大腿骨、太ももの骨でした。
その10センチの骨にお母さんと2人、箸と箸とをかけて2人でそっとそっとそっと持ち上げたんです。
10センチ持ち上がらず、箸が空を切りました。
空中でお骨が粉々に砕け散った。
その瞬間にお母さんがワーッと叫びました。
何てことをしてしまったんだ。
何が何だかわからなくなる。

何分経ったのか。
誰かが肩ポンポンと叩いてくれて、ふと我に返ったとき、お母さんと僕とこの手で、こうやって灰かき集めて、ギュッと握りしめて、悔しくて悔しくてバンバン叩きながら、手で骨壺に灰を入れてました。
肩たたいてくださったのは火葬場の方です。
見るに見かねたんでしょう。
ほうきとちりとりを持って立っててくれた。
「これ使ってください。これ使って1粒の灰も残さないように拾ってやってください。」














