2002年9月17日 騙され続けた末の希望
2002年9月17日、日本から総理大臣がやってきた。
しかしこの時点では、曽我さんはいつものニュースとしか受け取っていなかった。
それから程なくして、組織の幹部らしい人が訪ねてきた。
「近いうちに日本の調査団が来る。色々と聞かれると思うから、何を聞かれてもいいよう準備しておくように」というのだ。
曽我ひとみさん
「私はとてもびっくりしたのと同時に、『やっとこの日が来たのか』という期待と嬉しさが入り混じった気持ちになりました。けれども実際に面会の日が訪れるまでは、『また騙されるのではないか』という思いも頭の中にありました」
なぜか。
拉致されてからずっと北朝鮮という国に騙され続けていたからだ。
日本という国は私1人など助けてはくれないんだろうという絶望の中で24年間生きてきたからだ。
組織に騙され続けたというのは、拉致されてすぐの頃は「母親は日本で元気にしている。朝鮮語を勉強して上達したら日本に帰してやる」と言われたこと。
朝鮮語ができるようになると「結婚して家庭を持てば里帰りさせてやる」と言われたこと。
結婚してからは「子供が生まれたら親に会うため帰してやる」と、次々と騙され続けてきたことが原因だ。














