「ここは北朝鮮という国だ」連れ去られたのは聞いたこともない国
船室の扉が開き、外の明かりが差し込んできた。
暗闇に慣れた目には眩しく、一瞬目をつぶった。
徐々に明るさに慣れ、甲板に出て景色を見ると、全く見たことのない寂れた感じの港だった。
腕の時計を見ると、8月13日の夕方5時だった。
日本語を話すおばさんに「ここはどこですか?」と尋ねた。
曽我ひとみさん
「『ここは北朝鮮という国だ』というのです。私は聞いたこともない国名に、そんな名前のところがあったんだ。今まで聞いたことないけどなと内心驚いていました」
船を降りると車が待っていた。
車の中には偉そうな感じの男性が乗っていた。
工作員の責任者といった立場だったのではないかと思う。
これから列車で平壌というところに行くとのことだった。














