「松江に抹茶文化があるなんて知らなかった」という大学生がオーストラリアで日本の抹茶文化を知り、帰国後、松江で抹茶カフェをはじめました。
将来の夢は、「シドニーでの開業」です。

抹茶を点てているのは、作務衣姿の大学生。はじまるのはお茶会、ではなく…

「じゃあまず、ぜんざい。こっちから行きまーす」

お客さんの前で"映える"こだわりの抹茶ラテの仕上げです。

「よっしゃ、あいよ!」

こだわっているのは、見た目だけではありません。

「えっ…おいしい」
「うまい。うまい、うまい、うまい…」
「ザ・抹茶ってかんじ」
「お正月とかに、おばあちゃんが出すタイプのちゃんとした抹茶だなって」

松江のお茶屋さん厳選の抹茶を使い、味にもこだわった抹茶ラテ。

手がけるのは浜口飛雄馬さん、22歳。島根大学の3年生です。

学業の合間をぬって、松江市内の焼肉店を間借りして抹茶ラテのカフェ「ぐりはまっちゃ」を10月からはじめました。

浜口飛雄馬さん
「僕のSNSとかTikTokとかインスタを見てくださって『じゃあ行ってみたいな』って方がたくさんいらっしゃって。お客さんが初日に53人来ていただいて…」

元気と行動力がモットーの浜口さんは、兵庫県の出身。大学進学で松江にやってきました。

人生の視野を広げようと去年、大学を休学し、オーストラリア・シドニーへ。
農場や飲食店で働きながら1年間滞在し、そこで、日本食のレストランや抹茶カフェの多さを知り感激します。

浜口飛雄馬さん
「自分の住む国がこれほど海外の方に愛されてるのがとてもうれしかったし、僕も日本人だから、何か日本の文化を発信できるような人間になりたいと思いました」

帰国後、世界で抹茶ブームだと知った浜口さんは、抹茶カフェを開いて日本文化を発信しようと考えました。

浜口飛雄馬さん
「それで抹茶のことを調べていくと、島根県がまさか抹茶文化が根付いていたことを知ったんですよね。そこで『これや!』と思って」

Q:シドニーに行く前に住んでいた松江で、松江が抹茶文化の土地だということは?

「一切知らなかったです」

知らないことは、聞けばいい!
浜口さんは、松江の老舗茶店、中村茶舗と加島茶舗に「抹茶について教えて欲しい!」といきなりメールを送りました。

創業130年以上の老舗、「加島茶舗」で応じてくれたのは、六代目の加島浩介さん。

加島茶舗 六代目 加島浩介さん
「勢い、エネルギー、行動力…なんか若いっていいなって思いましたね。お伝えできることがあればお伝えしようかな、力になろうかなって思いました」

2つの老舗茶舗から直々に、抹茶ラテの作り方や、茶室での作法などを学んだ浜口さん。
試作づくりや試飲会を重ねて、「ぐりはまっちゃ」のオープンにこぎつけました。

そんななか、お店に現れたのは…

「おはようございます!」

岩田光明さん。
浜口さんが"松江の父"と慕うアルバイト先の料理店の店長です。

オーストラリア行きも、カフェの開店も、後押ししてくれたという恩人に、渾身の一杯を…。

浜口「こちら、大人の島根抹茶ラテでございます」

岩田「ありがとうございます」

岩田「(飲む)おいしいです。抹茶嫌いやけど飲めます」

浜口「結構みんなにそう言っていただいて…」

浜口さんの"松江の父" 岩田光明さん
「若いからいろんなことにチャレンジして欲しいし、まだ上には上がありますから、上をもっと目指してくださいと思います」

茶処・松江で、抹茶カフェの第一歩を踏み出した浜口さん。
この先の夢は…

浜口飛雄馬さん
「いま抹茶カフェをやっていますけど将来的にはカフェを拠点に置きながら全国各地を『抹茶コミュニケーター』としてまわって行って、少しずつ島根のお茶文化を発信できるようにして、シドニーでちっちゃなカフェをオープンして、オーストラリアの人に「島根県ってどんな場所なんかな」と興味を持ってもらって、島根県のことをたくさんの人に知ってもらいたい気持ちでいっぱいです」

自分を育ててくれた町・島根に、抹茶で恩返ししたい。
それが、浜口さんの最終目標です。