いつかまた「パパ、ママ」と呼んでくれる日を信じて

以前は歩くことができた香乃ちゃん。いまも自力でなんとか歩くことはできる。しかし、階段などの段差は苦手で、1人では上ることができなくなった。

「いまは2階リビングを後悔しています」父親はそう語るが、前を向いている。いつか、きっと治療薬ができて、娘が笑顔で「パパ、ママ」と呼んでくれて、一人でご飯を食べてくれて、階段を一人で上れると信じているという。

今回の取材は、父親から是非とも取材してほしいと依頼を受けて実現した。

「『レット症候群』という難病を知ってもらい、社会全体にも理解してほしい」との思いからだった。理解が進めば、治療薬の開発なども加速するのではないか、そんな期待もあるという。

いつの日か、陽射しがさんさんと降り注ぐ2階にあるリビングのように、この家族を明るい光が照らしてくれることを願わずにはいられなかった。

【CBCテレビ論説室長 大石邦彦】