太平洋戦争中に水没し、朝鮮半島出身者を含む183人の犠牲者を出した長生炭鉱では、犠牲者の遺骨収容に向けた市民の活動が進められています。

20日、韓国政府の担当者が現地を訪れ「政府としてできることがないか考える」と述べました。

長生炭鉱の跡地を訪れたのは、韓国の行政安全部で戦争前後の問題を担当する過去史関連業務支援団のチャン・ドンス団長ら5人です。

長生炭鉱は太平洋戦争中に水没し、多くの朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲になりました。この犠牲者の遺骨を遺族に返すため、潜水調査を続けてきた市民団体などは2025年8月、4つの遺骨を発見。警察に引き渡しましたが、身元の特定は行われていません。

今回の訪問は、韓国政府として今後の遺骨収容への支援策を模索するためのものです。

炭鉱の入り口・坑口の前で、遺骨を見つけるまでの調査の経過について、市民団体の井上洋子共同代表から説明を受け、排気筒・ピーヤも視察しました。

韓国 行政安全部 過去史関連業務支援団 チャン・ドンス団長
「政府がしなければいけないこともあるだろうと思いますし、直接できることがないかと思い訪問し、きょうたくさんのことを見ました。新しくできることがないか、検討してみようと思います」

市民団体は発見した遺骨のDNA鑑定などを日本政府に求めていますが、日本政府は「韓国政府との意思疎通を行う」としています。チャン団長は、日本政府との協議の状況は「今の段階では何とも申し上げられない」と述べました。

市民団体はこのあと韓国政府側と話し合い、日本政府が課題に挙げる潜水調査の安全性の懸念を払拭できるよう考えていくことを確認しました。

韓国政府側からは「共同のDNA鑑定に向けて日本政府に申し入れをしている」という説明があったということです。