どうして流星はふたご座方向から飛び出す?
──なぜ、毎年この時期に、ふたご座方向に流星が見えるのでしょうか。
(山陽学園大学 米田瑞生さん)
「ふたご座流星群の流星は、宇宙空間に漂う 微小なダスト(塵) が地球大気に飛び込むことで光ります。これらのダストは、ある天体の軌道上に残されたものです」
彗星に太陽光があたり、軌道にダストが残る
「従来、流星群をつくる天体は『彗星』が常識でしたが、ふたご座流星群の母天体は 小惑星ファエトン(3200 Phaethon)。これは 約40年前 に判明し、天文学者に大きな驚きを与えました」
■ なぜ小惑星が流星群の“親”なのか
「当初は、『もともとは彗星だったが、太陽に近づくたびに氷やドライアイスの部分が蒸発しつくし、“枯れた彗星=小惑星”になったのでは』と考えられていました。実際、この仮説を裏付けるような現象が観測されています」
■ 2012年、突然の増光──まだ“完全な小惑星”ではない?
「2012年、ファエトンが太陽に接近した際、急に明るくなる増光現象が観測されました。さらにその後も、時折ダストを噴き出すような活動が確認されています。つまり、ファエトンは『完全な小惑星』になりきった天体ではなく、彗星から小惑星へ“移行中”の珍しい天体である可能性があるのです」