石川県に誕生した2つの「ちょう」

東は「まち」、西は「ちょう」という大まかな傾向はあるものの、その傾向が崩れている地域もあると今尾さんは指摘します。

地図研究家、日本地図センター客員研究員
今尾恵介さん

「平成の大合併で石川県には『ちょう』が出現しているので、原則が崩れているところがあるのも確か」

例えば、石川県内には2つの「ちょう」と呼ぶ町があります。

2005年に3町村が合併して誕生した「能登町(のとちょう)」、同年に2町が合併した「宝達志水町(ほうだつしみずちょう)」。

これらは合併前の「まち」という呼び方から「ちょう」へと変わりました。

一方、富山県では「上市町(かみいちまち)」や「朝日町(あさひまち)」など、すべて「まち」で、「ちょう」と呼ぶ町はまだ出現していません。

東は「まち」、西は「ちょう」という傾向があるものの、その背景についても今尾さんは「はっきりしない」といいます。

「町」を「まち」と呼ぶか「ちょう」と呼ぶかは、法律上のルールがなく、各自治体の判断に委ねられているのが結論です。

その背景にある歴史や文化については、専門家でも「はっきりしない」と答えるほど奥深い謎に包まれています。

古くからその土地で慣習として定着してきた呼び方が、そのまま残っている可能性が最も高いと言えるでしょう。

次に地図やニュースを見たときには、ぜひ「町」の呼び方やあなたが住む地域の呼び方の慣習に注目してみてください。