ネパール国籍の男性が警察署で勾留中にベルト型の手錠などで拘束され、その後死亡したのは不当な身体拘束が原因だとして、遺族が国や東京都に賠償を求めた裁判の控訴審で、東京高裁はきょう(19日)、東京都に3900万円あまりの賠償を命じる判決を言い渡しました。

ネパール国籍のシン・アルジュン・バハドゥールさん(当時39)は、2017年3月に警視庁に逮捕された後、勾留されていた警察署内で両手首や両足をベルト手錠などで固定されるなどした後に意識を失い、死亡しました。

遺族は「死亡したのは不当な身体拘束が原因だ」として、国と東京都におよそ6200万円の賠償を求める訴えを起こし、1審の東京地裁は都に対しておよそ100万円の賠償を命じました。

遺族側と都側が控訴していましたが、東京高裁はきょう(19日)の判決で1審の判決を変更し、都に3900万円あまりの賠償を命じました。

判決で東京高裁は、警察署の担当者には「必要以上に緊縛して血液の循環を著しく阻害することがないように留意すべき義務がある」「必要以上の強度でアルジュンさんの身体を緊縛しており、義務に反する」と指摘。

また、国家賠償法上の「相互保証」について1審の東京地裁はネパールで日本人が認められる賠償と同程度のおよそ100万円を上限と判断していましたが、東京高裁は「相互保証を厳密に求めた場合には、国際的な人権保障の観点から不合理や弊害が生じるおそれがある」として、賠償額が増額しました。