考えが変わるきっかけとなったのが、新型コロナです。
コロナ禍により、マジックを披露する場が激減。
「愛樹」として生活する時間が増えました。

「私この格好でこのお店入って大丈夫かなって思いながらご飯を食べる見られてるかなとか気持ち悪いのかなってやっぱり思う、女性の格好をやっと何十年ぶりにしたのにやっぱりこうやって思うんだなって家で過ごしていても思ったので言っても言わなくても一緒なんだということに逆に気付いた」

「愛樹」でいることに少しずつ馴染んでいった自分。
そして、カミングアウトを決断し、10月にYouTubeで公表したのです。

「もちろんすごく怖かった怖い分言って最悪の事態を想定していた、離れる人もいると思うけど何十倍も何百倍もの人にたくさん届くっていう確証があった私がこうやって出ていくことで面白くなるにおいがした」

誹謗中傷など心無いコメントが来ることも覚悟していました。
しかし、実際は、感謝や応援のコメントで溢れました。

「想像をしていないくらいコメントがあたたかかった、うれしかったです」

公表してからおよそ2か月、「愛樹」の姿で外出する機会も増えました。

「いつもご飯を食べに来ていた場所で髪が邪魔でご飯食べづらいとかがうれしい、
爪もこんな風にできなかった見るたびに泣きたくなっちゃう感じ、でも一歩外に出ると闘わなきゃって思うだから強く生きなきゃ」

何より自分自身がようやく受け入れることができた、愛樹として生きること。
今は、同じような悩みのある人に、自分らしくいることの素晴らしさを伝えたいと考えています。

「人と違うことって素晴らしいこと、人がどう思おうが自分の中で違和感があればそれはとても苦しいもの、だから自分をそんなに卑下することは全くなくて、それをプラスにしていった時の力はとても大きいと私の作ったアキットを見てそれを感じてもらいたいなって思う」