秋になると色づく植物は多いですが、街路樹でよく見るイチョウも、鮮やかに色づく植物のひとつです。

イチョウのユニークな生態について、生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。

イチョウは生きた化石

──イチョウは古くから存在する植物だそうですね。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「イチョウは身近な植物でありながら、その歴史は驚くほど古く、文字どおり生きた化石です。

イチョウの最古の化石は約2億7000万年前、ペルム紀にまでさかのぼり、恐竜時代が始まるよりも前にはすでに祖先が存在していました。

しかも、その姿形は当時からほとんど変わっていないとされる、植物界でも屈指の古参です。

イチョウはスギやヒノキと同じ裸子植物の中でも雌雄異株と呼ばれ、オスの木とメスの木があります。

ただし、針葉樹や広葉樹のどちらにも属さず、イチョウ類という独立した系統を形成しており、現存種はこの1種だけです。

分類学的には極めて特異で、植物進化の系統樹の片隅にひっそり残った最後の生き残りのような位置づけです」