ベトナム人技能実習生グエン・テイ・グエット被告の控訴審判決が11月4日、福岡高裁で言い渡された。

1審の福岡地裁はグエット被告が2024年2月2日、福岡市博多区の交際相手の家で自己が出産した男児の死体をビニール袋に入れてごみ箱投棄することにより、死体を遺棄したと認定したうえでグエット被告に懲役1年6月執行猶予3年の判決を言い渡していた。

グエット被告は1審判決を不服として控訴。

弁護側の控訴趣意は次の3点から構成された。
法令適用の誤り:刑法190条(死体損壊等:死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する)が憲法20条1項(信教の自由:信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない)及び憲法31条(適正手続の保障:何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない)に違反する、あるいは本件への適用が違憲である
事実誤認:グエット被告に「遺棄」の故意が認められない
量刑不当:懲役1年6か月執行猶予3年は重過ぎる

これに対する検察官の答弁は
「控訴趣意には理由がないから、本件控訴は棄却されるべきである」
というものだった。