【回顧 2022①「選挙」】
今年は沖縄県内11の市のうち7つの市で市長選挙、7月の参議院選挙、9月には沖縄県知事選挙と、大型選挙が続く「選挙イヤー」と言われました。

その結果は市長選はすべて自公勢力が勝利、参院選・県知事選はオール沖縄勢力の勝利。「地方選では自公」「国政と知事選はオール沖縄」という形にはっきり分かれました。
こうした結果を当事者たちはどう受け止めたのでしょうか。

宮里千里(みやざと せんり)さん
不思議な構図ですよね。知事選挙には勝つ。参議院はちょっと大変だったけども、国政選挙では一応勝ってるわけですよ。これが市町村で負けると。

宮里千里さんは那覇市の元職員で、労働組合活動に取り組むなどいわゆる革新側に身を置いていましたが、2000年に那覇市長に当選した翁長雄志さんに、「市長公室長」という要職に指名されました。

自分の人事は、保守革新の対立構造を打破したいと考えた翁長さんの「オール沖縄」的な発想によるものだったと振り返る宮里さん。

10月の那覇市長選挙では、オール沖縄勢力の候補者選考委員長を務めるなど、こんにちまでオール沖縄の政治活動に関わってきました。しかし今、「オール沖縄」に対する複雑な思いを抱えています。

宮里千里さん
「(翁長雄志さんは)『腹八分、腹六分』っていう言い方よくなさってましたけども、何かでも、実際にそれが本当に腹八分とか六分だったのか」

8月に大詰めを迎えた、那覇市長選挙の候補者選考。選考過程はマスコミにも知らせず、一部の関係者のリークが先行して憶測を呼ぶ事態に陥っていました。

宮里千里さん
「これは大きなもう本当に反省点です。もっともっともっと市民参加というかそういうダイナミックさが必要だったはずですけどもよく言われる翁長ブランドという形がもうやっぱ先行したということでしょう」

県知事選で勝っても地方では勝てず。オール沖縄勢力が出発した那覇でも敗れた背景には一部が方向付けた結論ありきで進む議論や、そのために活力が失われた現状があるとみる宮里さん。
オール沖縄勢力のあり方を根本から見つめ直す「解体的出直し」も提言します。

宮里千里さん
「貧困の問題とか沖縄が抱えてる問題たくさんあるわけで、政治は全部絡んでるわけだから、我々自身がまずその構造を解いていくというかそれをやらないと。一本槍ではやっぱり駄目だと思いますね。翁長さんが築いた財産にちょっと、あぐらをかきすぎてるのかもしれない」

台湾有事が叫ばれ、沖縄が戦場となる想定の空気感が醸成されるなか、大きな塊を再構築しなければ、沖縄は再び切り捨てられる。そのためにも、『辺野古』一本ではない、本当の大きな塊をつくる戦いが求められている。宮里さんはそう考えています。

対する自民党。最も重視した県知事選を落としましたが、一方で新たな戦術での勝利も手にしました。