戦争犯罪などの記録の重要性が注目された今年のノーベル平和賞は、あす授賞式が行われます。ウクライナ侵攻でも指摘される“紛争下での性暴力”についてどう考えるべきか、被害者の子が取材に応じました。
ロンドンで開かれた国際会議。テーマは「紛争下での性暴力の防止」です。ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナからはゼレンスキー大統領の妻・オレナ夫人が出席しました。
ゼレンスキー大統領の妻 オレナ夫人
「性犯罪は彼ら(ロシア軍)の武器、あるいは戦争の手段のひとつとなっています」
夫人の隣にいたアイナ・ユシッチさん(29)。およそ30年前のボスニア紛争で母親が敵の兵士による性暴力の被害に遭っていました。
アイナ・ユシッチさん
「私たちは“隠された人々”と呼ばれます。出生を知られると偏見や差別にさらされるからです」
元は一つだった国の中で民族が激しく対立したボスニア紛争。性暴力の被害者は2万人を超えます。
母親から「父親は紛争で死んだ」と聞いていたアイナさんでしたが、15歳の時に偶然、出生の経緯が記された書類を目にしたのです。
アイナ・ユシッチさん
「その時、私が怒りを覚えた唯一の理由は、社会や国が性暴力を説明していなかったからです。性暴力が何なのか理解もできませんでした」
母親が受けた被害を口外できず、『隠された人々』の1人だったアイナさん。シングルマザーの子どもとして差別されたといいます。彼女が語った今回の会議の意義は。
アイナ・ユシッチさん
「きょう、ゼレンスキー大統領夫人が(性暴力防止の)会議に参加したことは意識を高めるための第一歩です。ボスニアでは性暴力の話題を持ち出すのに10年かかりました」
保守的風潮だというボスニアで女性の被害が認められるのにかかった時間は10年超。犯罪を立証するための証拠収集も遅れたのです。そして今、ウクライナ政府に対して求めることは。
アイナ・ユシッチさん
「社会から受け入れられ認知され、法律で平等に扱われていない子どもたちはまだいます」
被害を受けた母親から生まれた子どもを認め、差別から守ることにも取り組んでほしいと訴えました。
アイナ・ユシッチさん
「いま機会を逃せば、子どもたちの人生は確実に厳しいものになるでしょう。私も同じ経験をしたのでわかります」
心理学を学び、自身のトラウマと向き合ってきたアイナさんは同じような境遇の子どもたちとNGOを結成。「被害者」としての権利獲得のために活動し、ウクライナへの支援も行いたいとしています。
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