中国で暗躍する、大学の卒業証書の偽造を請け負う業者。取材班が接触すると、驚きの言い分が。

 中国のSNS。ここに、ある告知があります。

 (取材班リポート)「中国のSNSでは大学卒業が難しくても『諦めないで』というコメントと共に、京都大学や慶応大学など日本の有名大学のいわゆる卒業証書がアップされています」

 【SNSより】
 「試験に合格できなくても卒業証書を手に入れることができます」
 「1人で悩まずに私たちに相談してみて」

 複数の業者が、「卒業証書が手に入る」と呼びかけています。その対象は、日本以外の大学も。中国では、海外の大学に進学する若者がコロナ禍で一旦減少したものの、再び増加に。その数は毎年100万人以上にのぼっていて、こうした留学生を主なターゲットにしているようです。

 私たちはこのうち、ひとつの業者にメッセージを送ってみました。すると…

 (取材班)「30秒ほどで返信がありました」

 また、大阪大学の卒業証書を作ることができるかと尋ねると、すぐに「わかりました」と返信が。

 作成には名前・生年月日・性別・希望する卒業時期などの情報が必要で、料金は日本円で約7万円。3日から5日あれば手元に届くといいます。さらに業者は“卒業証書”の見本も提示。直接、業者に話を聞いてみることに。

 【業者とのやりとり】
 (取材班)「本当に問題ないんですか?偽物だとバレたりしませんか?」
 (卒業証書の偽造を請け負う業者)「今のところ、多くの学生が就職活動に使っています。すでに就職できたとフィードバックしてきた学生もいます。とにかく学校から発行された卒業証書と見た目はまったく同じです」

 これまでに客からのクレームは一度もないと豪語します。さらに…

 (業者)「使い道は全部お客さんが決めることです。何に使うか、いちいち干渉しません。とにかく使えて役に立ったなら、こちらもうれしいですし、お客さんを助けたことになります」

 私たちが日本メディアであることを明かすと、業者は開き直ったように自分たちの行動を正当化します。

 (業者)「他にもやっている人が多くいますから。あなたが必要ないなら、これ以上話す必要もないです。私たちは基本的に購入意向のある顧客だけを相手にしています」
 (取材班)「一生懸命勉強して本当に合格した人たちに申し訳ないと思いませんか?」
 (業者)「じゃあ、コネでいい仕事につけた人がいる一方で、実力があっても就職できない人がいることについてはなぜ言わないんですか?そういう問題をこそ報道して解決すべきじゃないんですか?」

 卒業証書の偽造について大阪大学は、大学固有の透かしなどの対策を行っているとしたうえで、「業者の存在は教育機関の信頼を損なうだけでなく、社会的信頼を著しく揺るがしかねない」とコメント。今後は、デジタル証書を導入するなどの対応も必要になってくるとしています。