■成田悠輔さんに聞く日本の“学歴社会” 「意味あるもの、ないもの、考えることが大事」
小川キャスター:
成田さんはいわゆる“学歴社会”についてどう考えていらっしゃいますか。
イェール大学助教授・経済学者 成田悠輔氏:
みんな学歴が好きですよね。大事なのは学歴と言われているものの中に「大事なものと大事ではないものが色々と混じっていること」が大事かなと思うんです。例えば偏差値が高い学校と普通の学校、本当に違いが生まれるのか気になりますよね。実際に調べると、アメリカとかの有名な大学や高校って、実はほとんど教育効果がないという結果が出ることがあるんです。そういう意味で言うと学歴はほとんど意味がない。重要だと思い込んでるだけということが多いと思います。なので、何が意味があって意味がないのかということを周りの声に惑わされずに考えることが大事かな。
■世界大学ランキング2023 東大39位・京大68位 前年よりも順位ダウン


山本キャスター:
イギリスの教育専門誌が研究内容や論文の引用回数などをもとに算出した、世界の大学ランキングです。▼1位:イギリス オックスフォード大学 ▼2位:アメリカ ハーバード大学 ▼3位:イギリス ケンブリッジ大学・アメリカ スタンフォード大学。そして日本の大学は39位に東京大学、68位に京都大学となっています。東大、京大ともに前年と比べて順位が下がっています。
さらに、100位以内に入っている大学のうち、アジアで見てみると中国が7校、香港が5校となっていて日本は2校というデータもあります。
小川キャスター:
日本の立ち位置というのはどう見たらいいでしょうか。

成田氏:
これは必ずしも日本人の学力や能力が落ちているという単純な話ではないと思います。
日本はどんどん若い人が減っているので、同じような能力を持った人たちがいたとしても、単純に頭数が減っているので中国やアジア、アメリカなどの国と比べると相対的に落ちていくのは仕方がないのかなという見方もできると思います。これを大学だけの問題として見てもあまり意味はなくて、日本という国とか経済全体が段々縮んで、他の国と相対的に見た場合に衰えてることの一つの表れが、この大学ランキングなんだと。
小川キャスター:
成田さんがいらっしゃるイェール大学は世界の大学ランキング9位ですが、日本の大学との違いは?
成田氏:
一番わかりやすい違いは、日本の大学は基本的にほとんど日本人だけでやりくりしていますよね。先生も学生も日本人です。アメリカのトップ大学は先生も学生も世界中から来ていて、様々な言葉を喋る人たちが混じっていて、英語もすごい訛りがある英語の方が多い。そういうところが一番わかりやすい違いですかね。だから元々使える才能のプールみたいものが全然違うところが一番大きいですかね。
小川キャスター:
魅力的だと感じて多くの人材が世界から集まってくるということですか。
成田氏:
ただそれはアメリカがたまたま英語圏で、世界経済の中心でもあるなど、色々な歴史的な経緯があって初めて可能になったので、アメリカやイギリスのような国と比べて(日本の大学が)低いということはあまり気にしすぎても仕方がない。日本なりに何ができるか自分自身で考えた方がいいと思います。