プロジェクトチームが始動 再生を目指す重森三玲の庭とは

去年5月、「驢庵」は無数の草木に覆われていました。

この状況を何とかしようと、造園家や庭の専門家など約20人によるプロジェクトチームが発足。再生に向けた作業が始動したのです。

(驢庵再生プロジェクト プロデューサー 稲谷順一さん)
「(元々は)一木一草もない庭ということなので、今ある既存の植物は撤去していくという作業です。本当に偉大なる先輩の形見じゃないですけど、思いを受け継いでいけるような再生にしたいと思います」

今から70年前、「驢庵」が作られた当時の写真です。

手がけたのは岡山県吉備中央町出身の作庭家・重森三玲。三玲はかつて全国の神社や寺に数々の庭を作りました。

代表作である京都・東福寺の本坊庭園や、大阪・岸和田城の八陣の庭は、その景観の美しさから国の「名勝」にも指定されています。

それまでの日本庭園とは一線を画すモダンな作りが評価され、昭和を代表する作庭家として知られています。

常識にとらわれない庭づくりに力を注いだ三玲ですが、高梁に作った「驢庵」も作庭家としての新たな挑戦でした。

「一木一草を用いないで深山幽谷の景観を表現する」

三玲は、高梁市の開業医、東照平さんから家の敷地に設けた茶室に合う茶庭を作ってほしいと依頼されました。従来、茶庭は奥深い自然を表現するため、植栽が多いことが当然とされていました。

しかし、東さんから予算はあまり掛けられないという条件を出され、木々を一切用いない茶庭を初めて作ることを決意。

「驢庵」はこれまでの茶庭の概念が一新された革命的なものとなりました。














