「組織的なあっせんはない」とする旧統一教会の養子縁組。しかし信者向け冊子には「本部に申請書」「養子縁組式」「家庭部長にぜひ相談を」など“あっせん”を思わせる記載がいくつもあります。養子の約束は「妊娠前が最も好ましい」としていて、専門家は「子どもの福祉に反する」と指摘します。
■「個人の活動に限界」宗教2世が新団体立ち上げ

12月7日、厚労省で会見したのは、旧統一教会と宗教団体「エホバの証人」の2世です。
「エホバの証人」2世 団作さん(仮名・20代)
「宗教2世問題を根絶することを目的とした『宗教2世問題ネットワーク』を設立します」
信仰の自由の侵害や虐待など、宗教2世が抱えやすい問題に取り組むための団体を立ち上げたと発表。その理由について…

旧統一教会2世 山本サエコさん(仮名・30代)
「被害者が継続的に国との対話や、要望を続けていくためにも、匿名の被害者として個人の活動をするのは、やはり限界があると感じた」
現在、審議されている被害者救済法案については、成立後も1年をめどに見直しをするよう求めています。そして問題視したのが…

旧統一教会2世 高橋みゆきさん(仮名・20代)
「私がかつて統一教会に通っていたとき、養子縁組の人がいっぱいいました。人道的に非常に問題があると考えている」
■「神の子女として預かり、育てていきます」養子縁組の組織的“あっせん”は?
1981年以降、745人の養子縁組が、信者間で行われたという旧統一教会。

厚労省は、許可を受けず継続的に養子縁組をあっせんしていた場合は、法律に違反する可能性もあるとしていますが、教団側は…
「組織的あっせんはございません」
しかし、妹が2人養子に出された元2世信者の小川さゆりさんは、こう憤ります。

旧統一教会2世 小川さゆりさん(仮名)
「教会が養子縁組を推奨していた証拠として、本や文鮮明(創始者)の言動が残っている。それを否定することが、きょうだいが養子に出された身なので、すごく腹立たしい」

NEWS23が入手した信者向けの冊子「神の子を迎える喜び 妊娠・出産・育児(光言社)」。妊娠や出産、子育てについて書かれたものです。

冊子から引用
「家庭連合の養子縁組は一般で行われる養子縁組とは違い、神様の心情を中心としてなされるものです」
この本は1966年に教団に入信した人物が書いたもので、2022年8月に改訂版として発行されています。

発行元は教団関連書籍を多く出版する会社。登記によると、取締役の一人に名を連ねるのは、勅使河原秀行氏。教会改革推進本部の本部長を務める人物です。
この冊子の中で、養子縁組を決める際は、教会の家庭部長が両家の間に入って意思確認などをするとしています。そして合意に至ると…

冊子から引用
「必ず日本の家庭連合本部の家庭教育局に報告が必要です」
家族写真を添付した「養子縁組申請書」を教会本部に提出し、会長が承認すると記されています。
実際に子どもが産まれると…
冊子から引用
「養子縁組式に臨みます」
養子となる子どもを祭壇の前に寝かせ、両側に実親と養親が並んで座り「養子縁組式」を行うのだといいます。

実親
「子女に一切未練を持たないようにします」
養親
「神の子女として預かり、育てていきます」
そして冊子では、家庭裁判所に養子縁組許可申立を行い、自治体に届け出ることも指南。最後には読者にこう呼びかけます。

冊子から引用
「『養子を授かりたい』と希望している家庭、および養子を捧げたいと決意している家庭がありましたら、所属教会の家庭部長にぜひ相談してください」