多くの血が流れた結果、投票は「義務」に 罰金・罰則も

▽「義務投票」ルール1 自動車の移動制限

選挙当日、街から車の姿は消えます。
特別な許可を得た車両以外は走行が規制されます。

▽「義務投票」ルール2 酒の販売・消費禁止

選挙当日を含む3日間は、お酒を売っても飲んでもいけません。
自宅でコッソリ飲酒することも認められないそうです。

▽「義務投票」ルール3 投票しないと罰則

投票できない人が理由を申告するため、役所の前には長い行列ができていました。
理由が認められなければ高額の罰金(約1万2000円)に加え、3か月間の銀行取引の停止など厳しい罰則が科されます。

これほど選挙を大切にするようになったのは、過去の厳しい歴史があります。

ラパス郊外に1人で暮らす、元教師のベルタさん(81)。

ベルタさんが子どものころ、ボリビアはスペイン出身者を中心とした富裕層がすべてを支配していたといいます。

ベルタさん
「私が生まれる前から選挙は行われていました。でも、それは少数の人たちのためで、みんなの選挙ではありませんでした」

――投票できない人は?
「奴隷でした」

国民の大半を占める先住民族や女性には、投票権がありませんでした。政治に参加できないことで不公平な扱いを受け、とても苦しい生活を強いられたそうです。

しかし、そうした状況を打破したのが1952年の「ボリビア革命」。多くの血が流れた結果、誰もが投票できるようになり、「投票は義務」となりました。

ベルタさんの大切な思い出。それは投票を終えた両親が口ずさんでいた一曲“自由と解放を祝う歌”です。