もうすぐボーナス支給日。物価の高騰が続く中、使い道はこれまでと変わってきているようです。街の人や専門家に話を聞きました。

街の人
「コロナ禍なので、支給は少ないと思います。家のローン返して冬のタイヤ買ってぐらいですかね」(Q:それ以外は貯蓄に?)「あ、そうですね」
「自分の自由にはならない。自由に使っていいなら、1人でちょっと高い肉をたべたい。実際使うのは、子どもの金、進学とか」
どうやら、財布のひもは固いようです。

2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を持つ大下憲彰さんは、消費が低迷しているといいます。

中小企業診断士・2級ファイナンシャルプランニング技能士 大下憲彰さん
「最近の傾向として、購入数量を減らして買い控えをしている。不要不急の消費をしなくなってるのかなと思っています」

最近の傾向からボーナスの使い道も、貯蓄にあてる割合が大きくなると見ています。大下さんによると、日本の物価は前の年に比べて10月時点で4%上がっていますが、賃金は2%ほどしか上昇しておらず、追いついていない状況にあります。企業の中には賃上げを考えるところはありますが、その多くが経営の圧迫をおそれて踏み切れないということです。

大下さん
「やっぱり賃金が上がらないと消費も活性化しない、何よりも先行きの見通しに明るい展望を持てないと人間ってお金を使ったりしないと思うんで、明るい展望を持ちたいですよね」

先行きの不安から、不要不急の消費を避ける傾向はしばらく続くとみています。この傾向は、大下さんが関わる北欧家具店でも感じています。小売店に卸す数が減っているからです。一方で、需要が増えたものもあります。

大下さん
「今年8月からスタートした出張家具などのリペアのサービス、これは強い需要を感じます。先行きの見通しが不透明なので、今新しいものを買い替えるんじゃなくてまだ使えるんだったらね、修理しながらちょっと長く使おうっていう傾向の表れなんじゃないかなと思っています」

リペアを手がけるのは妻・夏美さんです。リペアの人気は続くとみられ、大下さんは「買い替える」のではなく「長く使う」という価値観の変化も感じています。

ボーナス前にデパートは

ボーナスをきっかけに、店側はさまざまな手で客を呼び込もうとしています。

山口井筒屋 営業推進担当 磯部直也マネージャー
「ボーナス時期、昨年も12月第2週あたりが入店客数・売り上げも非常に大きくはなってました」

山口井筒屋では、ふだんは1日あたり4千人前後の客ですが、この時期はイベントがなくても1万人を超える、1番の稼ぎどきです。今年は物価の高騰に対応して、会員向けのポイントを多めに付与して、割安感を出しています。山口井筒屋ではボーナスに合わせて、12月9日からフェアを行う予定で、生活に密着した肌着やパジャマ、タオルなどを安く販売する予定です。

物価高騰の中で支給される今年のボーナス。消費者の堅実な使い方にあわせて、店側の準備も進んでいます。