秋の空は「高い」と言われていますが、秋は雲が一番きれいに見える季節です。秋の空を彩る雲たちを観察してみましょう。(アーカイブマネジメント部 萩原喬子)
正岡子規が歌った四季の雲
正岡子規は四季折々の雲の表情をこのように表現しました。
「春の雲は綿の如く、夏の雲は岩の如く、秋の雲は砂の如く、冬の雲は鉛の如く」
春はモコモコとした綿のような積雲、夏はゴツゴツと岩のような入道雲(積乱雲)、秋は砂のように細かくてサラサラしていそうな巻積雲や巻層雲、そして冬は鉛のような厚く、暗く、低い層雲や乱層雲を指しています。

雲の基本は10種類あり、「十種雲形」と呼ばれています。秋のこの時期は、主に巻積雲、巻雲、高積雲など高い位置にできる雲がよく観察できます。

なぜ秋は雲がよく見えるのか?
気象予報士 森 朗氏:
雲がよく見える鍵となるのは空気の透明度と移動性高気圧の存在です。夏の間、日本は太平洋高気圧に覆われていたため、空気中の水蒸気量が多く、空の色は白っぽく霞んで見えました。しかし秋になると移動性高気圧に変わり、空気がカラッと乾燥し、湿度が低下します。湿度が低いと空気中に浮遊する水滴やチリ(エアロゾル)が減少し、遠くまで見通せるようになり、よりきれいな青色が広がり、雲の白とのコントラストが際立つからです。
