10月17日、金の価格が高騰し、大阪取引所では一時、1gあたり2万2000円を超え、史上最高値を更新しました。円安が進んだことによって、円建てではより割高になっていますが、国際価格も上昇し、市場最高値を更新しています。
実物資産の金がこれだけ値上がりするというのは、どういうことなのでしょうか。

「金」はなぜ安全資産なのか 価格急騰の要因は?

そもそも、なぜ「金」は安全資産とされているのでしょうか。それは人工的に作ることができず、地球上に存在する総量にも限りがあるからです。

有史以来、採掘された金は2024年末時点で21万tと推定されています。これはオリンピックで使用される50mプールだと「約4杯分」で、残る金の埋蔵量は推定で5万t、プールの「約1杯分」。つまり、8割を掘り尽くしてしまっていることになります。

こうした「希少性」に加え、化学的な変化がなく酸化しない「安定性」や、古代から権力者の副葬品などに用いられてきた「審美性」が、株や債券とは異なる“普遍的価値”を与えてきたのです。

実際に、金の小売価格は右肩上がりとなっていて、2023年に1gあたり1万円を突破してから加速度的に上昇。10月17日に、2万3000円台の史上最高値を記録しました。

この急伸は日本だけではありません。国際価格も上昇を続け、同じく17日には、4300ドル台と史上最高値を更新。わずか1年で6割も上昇しています。

ではなぜ、1年でここまで急騰したのでしょうか。専門家は、2つの要因があるといいます。

まず1つ目は「ウクライナ侵攻や中東情勢、台湾有事への懸念」という地政学的リスクが3つも重なったこと。そして2つ目は「アメリカが利下げに転換、第2次トランプ政権が始まったこと」で不透明感が強まり、多くの国でドルを売って「金」を買う動きが強まったと指摘しています。