「独りぼっち」を意味する「ぼっち」と言われていると「妄想」

罪状認否に続いて検察側と弁護側の冒頭陳述が行われる。青木被告は事件前年の2022年から、被害者の女性2人から、独りぼっちを意味する「ぼっち」や「きもい」と言われていると「妄想」を抱いたことなど、犯行の経緯が明らかにされた。双方の主張の要旨は以下の通り。

〇検察側の冒頭陳述
検察側は冒頭陳述で、青木被告は大学に入学した2011年ごろから、周囲の学生から「ぼっち」「きもい」と言われていると妄想を抱く症状が出始めた。そして、事件前年の2022年には、毎日夕方、青木被告の家の前を散歩していた女性2人が「ぼっち、きもい」などと話しているという妄想を抱き、その後、2人を殺害しようと考えたが、好きだった果樹園の経営ができなくなると躊躇していた。

【犯行当日の状況】
・5月25日午後4時18分ごろ
自宅の庭で除草剤をまいていると、散歩してきた女性2人を目撃して激高し、殺害を実行に移すことにした。物入からボウイナイフを取り出し、2人の前に立ちはだかる。1人をその場で突き刺すなどして殺害し、逃げたもう1人を追いかけ、近くの畑の中で突き刺すなどして殺害した。遺体をそのままにしては目立つと考え、自宅の敷地内に1人の遺体を移動させて隠した。

・25日午後4時36分ごろ
パトカーが来たのに気づいた被告は、ハーフライフル銃を持ち、その進路に立って待ち構えた。パトカーが近くの元キノコ工場の敷地内に停車すると、銃口をパトカーに向けながら近づき、運転席側の外に立った。そして、車内に向けて発砲するなどし、警察官2人を殺害した。

・25日午後5時31分ごろ
母親が自宅に戻り、被告は自首を促されるも拒否し、その後、母親は猟銃を持って自宅から逃走した。

・26日午前4時台
被告は父親に電話をして、警察に投降することを伝え、その後、身柄を確保された。

初公判 検察側(9月4日)

検察は、逮捕後に行った医師の精神鑑定により、被告には「妄想症」という精神障害があり、動機には「妄想」が関係しているものの、事件前に購入したナイフの刃を研いだことや、犯行後に女性の遺体を隠した行動などから、犯行への直接的な影響はない。