腎臓の病を抱えた人が受ける「人工透析」

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腎臓病を発症したのは、大学生の時。スポーツ一筋に生きてきた青年にとって、人生の急ブレーキだった。4年間、人工透析を受けながら大学に通い、周囲の学生と同じように運動の授業に取り組んだ。これがどれだけ難しいことかは、人工透析のつらさを知る人にしか想像ができないかもしれない。

7人兄弟を育てる農家だった両親も、困難に直面した。当時、仲里さんの入院生活は2年3か月も続き、高いときで月に130万円の費用がかかった。

「こんなに(治療費を)かけて、大学の費用も。農業しながら。親にはね、申し訳なかった…」

つらい治療が続いていたある日、臓器移植に関するテレビ放送を見た両親が、臓器提供を提案する。父親の腎臓が適合することが分かり、大学卒業と同時に、父親から生体腎移植を受けることになった。

68歳で息子に腎臓を提供した松正さん 100歳まで天寿を全うした

父親から「新しい命」を授かり、以前の元気を取り戻した仲里さん。幼い頃からの夢、体育教員になる道は目の前にあった。しかし移植医療の体験が、仲里さんの人生を変えようとしていたー