災害が発生した後、長期にわたる避難所生活では、心身のバランスを崩す人も多く、最悪の場合、災害関連死につながることも懸念されます。そこで国は「災害関連死・ゼロ」を目指し、避難所での生活環境の向上に取り組むリーダーの育成に力を入れています。
9月5日、静岡県牧之原市で起きた国内最大級といわれる竜巻被害。発災から一か月以上経ちますが、10月14日現在、いまも5世帯9人が避難所に身を寄せています。
<牧之原市健康推進課 加藤明香保健師>
「片付けも大変で身体も疲れているし、夜もなかなか眠れないというお話しが、心配だよというお話しがありました」
牧之原市では、いまのところ大きく体調を崩した人などはいないということですが、避難生活の長期化によって懸念されるのが、災害関連死の増加です。

2024年の能登半島地震では、死者のうち災害関連死が約6割を占め、2016年の熊本地震では、約8割と、地震による直接の死者数を大きく上回っています。
富士市内に住む、安藤彰祥さんと娘の愛菜さんです。
<安藤彰祥さん>
「暑いのでクーラーがないと、これもまた生活環境、避難生活には支障が出てくる」
彰祥さんが、富士市の職員として能登半島地震の被災地支援に行ったことをきっかけに、保健師を目指す愛菜さん(17)も、自分にできることはないかと考えるようになりました。
<安藤愛菜さん(17)>
「災害時の避難してきた方々の精神的な支えになるように尽くしていきたいなと思います」
愛菜さんは10月、国がはじめた、「避難生活支援リーダー/サポーター研修」に参加しました。この研修は、被災者の心情に寄り添い、「災害関連死・ゼロ」を目指すものです。
<リウマチをもつ女性(60代)>
「あの」
「はい、どうされました?」
「私はね、リウマチがあるのよ」
「この間ね、結局トイレに間に合わなくておもらししちゃったの」
実際に避難所であった事例を元にしたロールプレイングでは、被災者の状況や心情について理解を深めました。
<研修の参加者>
「立てない辛さがあると思うんですよ。すぐ立ちたいんだけど立てない」
<研修の参加者>
「はずかしさを言える家族がいない、その辛さみたいなものを感じました」
<愛菜さん>
「家族が1人、話す人がいなくて、はずかしいより不安の方が大きいなと思いました。気軽に相談ができるような場所を作ってあげるべきだと思いました」
また過去の被災地での避難所の状況が再現され、寝床など被災者が生活しやすい環境を作るにはどうしたらいいのかを話し合いました。
<愛菜さん>
「少しでも気楽にリラックスできるような環境を作って、ストレスをためないように避難所を作っていきたいと思いました」
<内閣府 小谷敦審議官>
「せっかく助かった命、避難所までたどりついた方、これが避難の長期化等によって体調を崩され、最悪の場合お亡くなりになると、こういった災害関連死、これをいかに減らしていくかというのが一つの大きな課題です」
災害関連死・ゼロを目指して、被災者に寄り添うリーダーの育成が求められています。