裁断機の向きを変えただけで作業がスムーズに

鈴木さんが伝えるのは「トヨタ生産方式」と呼ばれるノウハウです。
・マツモト商品管理部 山本知史部長
「トヨタさんから一貫してお伝えしてもらっているのは、製造工程を川の流れのように、止めることなく流すというような考え方なんですね」

大阪に本社を置く「マツモト」の函館工場。稼働して36年になります。
この企業では、作業の無駄を徹底して省く極意を、鈴木さんから学ぼうというのです。
たとえば塩昆布の製造ライン。裁断機の向きを、以前から90度変えたことで、味つけから裁断までの流れもスムーズに。作業人数は6人から4人に減りました。

・トヨタ自動車北海道 モノづくりサポートグループ 鈴木龍也さん
「毎日同じ仕事をしていると、作業をしている方はちょっとした無駄なことに気づけないというか、それが当たり前の風景になっているというところがあるので、僕らみたいな第三者がきて、「これってちょっと無駄じゃないですかね、もったいないですよね」って言うと、あっそうだねって気づいてくれるんで」
昆布の加工業者と自動車メーカーという、意外な取り合わせ。後押しするのは、10年前にスタートした国の「プロフェッショナル人材制度」です。
新サービスの開発や販路の開拓、生産性向上の助けとなるプロの人材を、中小企業が必要に応じて活用できる仕組みです。
たとえば、IT関係や大手企業の社員やOBが、その人材です。

・東京商工リサーチ北海道支社 調査部兼情報担当 髙崎慶部長
「中小企業は、なかなか専門人材を抱える余力もないですし、内部で人材育成してっていうのも時間がかかると思いますから、プロ人材制度を活用して、業務効率化につながるような仕組みを入れていくというのは、今のその中小企業の皆さんにとっては本当にマッチした制度かなと」
副業として依頼することで、人件費を抑えながら、専門的なノウハウを活用できる…、そうしたメリットが中小企業にはあります。