難易度が高い「捨てる前の処理」 その注意点は?
ーなかなか難易度が高いですね。どんなことに気をつけたらよいでしょうか。
「処分に失敗する典型例は、中身が残ったまま穴を開けて穴から噴射ガスを浴びる、あるいは穴を空けた後の液体が飛散するケースです。
クマなどの大型の生き物が撃退されるほどのスプレーです。もし自分が、あるいは近くの人が浴びてしまえば…痛くて目もあけられない、涙が止まらない、鼻や口などの粘膜も激痛、息をするのもしんどい、など大変なことになります。
わずかに手についたものに気づかず、目や鼻をこすっただけでもかなり痛い思いをします。気軽に処分しようとしたら大失敗した、というケースもありますね。
ものによっては販売店で引き取ってもらえるので、事前に確認して処分もお願いするほうが安全です」
ークマよけ以外の殺虫スプレーなどの缶を捨てる際にも注意が必要ですね。
「クマ撃退スプレーだけでなく、エアゾール缶の多くは可燃性ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)を使用しており、火花一つで“火炎放射器”になります。
便利な日用品に見えますが、実は取り扱いを誤れば爆発物に近い危険を持っています」
「スプレー缶で実際に起きた事故例の一部はこんなものです。
〇車内破裂事故:夏場、炎天下に放置されたエアゾール缶が車内で破裂。ダッシュボードが吹き飛び、ガラスが割れる事故が複数報告されています。
〇室内爆発事故:換気不足の部屋でスプレーを大量噴射
→ 給湯器の火種に引火し、住宅が全焼。
〇廃棄時の噴射事故:中身が残ったままリサイクル回収に出し、収集車内で破裂・発火。消防車が出動するに至った例もあります」
ースプレーの使用期限が過ぎている場合、やはり使わないほうがよいですか。
「使用期限を過ぎたスプレーは効果が保証されず、内部の有効成分が変質している場合もあります。
使用期限内でも、錆など劣化が進んだ缶は腐食による破裂リスクもあり、“使わない”のが最も安全です」