「差別偏見を正す写真」とは何か。沖縄に渡り、26歳のときに通い続けた沖縄愛楽園。そこには、治療ができる病気だったにもかかわらず、国の誤った政策によって、差別や偏見の的となった人々がいた。

正面から撮影することができなかった鈴木さん。しかしある日、一人の入所者から声をかけられる。

「撮りなさい、これが “らい” よ、と言われて、それで正面から撮るようになって。心に震えがきた。指のない両手を出されて。思いやりだったと思います、“本当は正面から撮りたいんじゃないか” って感じてくれたんだと思います。一歩なかに入れた、仲間に入れてくれたんだなと思いました」

「撮りなさい、これが『らい』よ」


飲食を共にし、愛楽園で過ごす人々の表情や営みを撮影していく中で、その撮影日誌には、入所者との他愛ない日常とともに、葛藤も記されていました。

ー 「涙が込み上げてくる」「そっとしておけばいいのかもしれない」「その写真から何を訴えたいのか ー

「撮っているときは “発表はできない” と思っていて。発表はできないけど、『差別偏見を正す写真を撮りなさい』って言葉が強く残っていたと思いますね」