青森市の伝統工芸品「善知鳥彫(うとうぼり)ダルマ」
木の自然な形を生かした作品で、100年以上の歴史が紡がれてきましたが、2024年に制作者が不在となりました。伝統を後世に残すため、常設の資料館が青森市に誕生しました。

朱色の衣を痩身にまとい、ぎょろりとした目で前を見据える独特の作品。
工芸品の「善知鳥彫ダルマ」です。

今から100年以上前、1921年に今克己さんが流木や端材を使って作り始めたものです。

「善知鳥彫ダルマ」の普及を目指す団体が、青森市石江に資料館をつくり、寄贈作品や資料など200点ほどを展示しています。

おどろ木ネットワーク 澤田新平 事務局長
「今さんの作品はどちらかといえば小さいもの・緻密なもの。今さんの技術を集中したものが多い。顔の表情も2代目と比べて見ても、怖いけど優しい」

団体の事務局長を務める澤田新平さんが“2代目”と話すのが、2024年に亡くなった福井強さんです。

初代の伝統を受け継ぎつつ、色合いはパステルカラーを中心に変えるなど、独自の作品を手がけました。

普及のために、技法を取り入れたダルマ以外の作品づくりにも挑戦した作家でした。

善知鳥彫ダルマ作家 福井強さん(1987年当時)
「心の目でダルマの姿を木の中から探し出すようにするのが、善知鳥彫ダルマの根本」

団体は、福井さんから譲り受けた作品とともに「善知鳥彫ダルマ」を後世に残したいという思いも引き継いでいます。

おどろ木ネットワーク 澤田新平 事務局長
「福井さんは『善知鳥彫ダルマ』を彫りながら、多くの人に『善知鳥彫ダルマ』をもっともっと知ってもらいたいと先頭になって走っていた。福井さんが亡くなって、後継ぎがいない状況。我々はそこに危機感を覚えて『善知鳥彫ダルマ』を知ってもらおうと(資料館を)始めた」

資料館では、4日からの2日間での内覧会を皮切りに「善知鳥彫ダルマ」を広め、作品の普及とともに新たな制作者の誕生を目指しています。