宮本玲於(みやもと れお)さん19歳。
宮本さんは今月オープンしたスイーツショップ「Tsutsumi道後店」で、夢だった「接客」の仕事をスタートさせました。
宮本さんは脳性麻痺のため生まれつき両足が不自由で、車いす生活を送っています。

宮本さん
「車いすユーザーということもあってたくさん人から声をかけられることが多かったので小さいころから人と話すことが大好きだった」
車いす利用者の接客の課題
しかし、店内での接客には課題もありました。
車いすを操作しながら商品を渡すのが難しいこと。さらに、移動するための十分なスペースがないことなどです。
そのため、車いす利用者の求人は、なかなか見つかりませんでした。
宮本さん
「『車いすといえば事務作業』というイメージがあったので車いすで接客は難しいのかなと思っていた」
そうした中、宮本さんが出会ったのが、現在働いている「Tsutsumi」のグループ会社で障がい者の就労支援を行う「Akari」の社長、児玉万年(こだま かずとし)さんでした。

株式会社Akari 児玉万年社長
「宇和の特別支援学校の先生から『接客が大好きな男の子がいて、ただ車いすということがあって受け入れをどこもしてくれない』という話があった。(オープン前から)道後店はバリアフリーにしようと思っていたのでなんとか道後店が出店できたら彼と一緒に働きたいなと思っていた」
採用が決まったのは、特別支援学校の卒業3日前でした。
宮本さん
「(採用の連絡をもらった時は)不安と嬉しさの気持ちが入り混じっていた。でも雇用されたこと自体は自分の夢に繋がっているのでとても嬉しくて『やってみよう』の精神で就職した」
「Tsutsumi」でも、本店と道後店であわせて20人ほどが働いています。
その中で宮本さんは、店頭で呼び込みを担当しています。

パイ専門店Tsutsumi道後店 末冨ゆい店長 「お店を見て愛媛県の食材って分かりにくいから『愛媛の食材使ってます』とか『スイートポテト愛媛県産です』とか一声かけたら良いと思う」
宮本さん
「(試食を)取ってもらって『おいしい』という感想とともに『がんばってね』と
言われることがよくあるのでそういう言葉を励みにしながら仕事するのは楽しい」
それでも、勤務中は様々な困難に直面します。

宮本さん
「タイミングが本当に難しい、支援をお願いすることって。この人今作業してるからダメなのでは、でも自分の時間も刻一刻と過ぎているので」
1日の業務を終えると、日報を書きます。
宮本さん
「きょうは自分に厳しく70点くらいで」
就職に合わせて一人暮らしも開始
八幡浜市出身の宮本さんは松山での就職に合わせて、初めての一人暮らしもスタートしました。

宮本さん
「ごはんを作るときは移動して小さな台をセッティングしてIHコンロを移動して作る」
――家族と離れて寂しくない?
「4人兄妹なので一人という環境がどれだけ静かなのかということに気づいた。今ではもう自分のこの居場所がテリトリーなのでなかなかに住み心地が良くて実家に帰省する機会を見失っている」
一人暮らしをエンジョイしている様子。
一方で、仕事の準備も欠かしません。
「車いすを武器に」宮本さんの今後の目標
宮本さん
「自分自身も勉強しながら客に正確な情報を伝えられるように。(車いすだと)たくさんの人から見られる。でもそれは悪いことではなく逆に注目を集めているからそれを武器にする」
自らの状況を武器にする、と前向きです。
宮本さん
「車いすでもこういう接客の仕方がある、こういう人との接し方がある、ということを自分の活動を通して伝えていけたらいいなと」
宮本さんならではの接客で相手を喜ばせたい!
車いすの新人スタッフの挑戦は始まったばかりです。
