「調査で回っていたとき、ちょっと気になる話を聞いてしまって…」。広島市内のある地区で、国勢調査員を束ねる指導員(町内会長)のもとに、任務を終えた調査員から相談が届きました。直接訪問が推奨された今回の広島市の国勢調査。地域を歩くからこそ目や耳に入る情報は少なくありません。しかし、それを“どこまで話してよいのか”。“秘密”の扱いを巡り、現場ではいま、静かな葛藤が続いています。

■国勢調査員で知り得た情報の管理
国勢調査員は総務大臣に任命される非常勤の国家公務員で、任務で知り得た情報を外部に漏らしてはならない守秘義務を負います。

実務の多くは調査票の受け渡しや案内で、調査票の「記入内容」を直接見る機会はほとんどありません。

多くの人がインターネット回答や役場への郵送を選ぶため、この地区では手渡しの回収は今のところゼロ。つまり、調査票の中身を知ること自体は難しくなっています。