札幌市南区の民間動物園「ノースサファリサッポロ」。9月30日、閉園の日を迎えました。

・堀内大輝キャスター(30日午後5時)
「午後5時になりました。20年の歴史に幕を下ろすことになったノースサファリサッポロ、ぎりぎりまで楽しんだ人たちが中から出てきます」

 ・札幌市内から
「きょう(閉園と)知っていて仕事を休んで来た。ウサギ楽しみで(娘は)ウサギの服を着てきた」

・函館市から来た親子
「息子が3歳のときからから毎年来ている。3日前にライオンのところでグランピングしてライオンのアンジーと寝たもんね」
「(閉園後は)動物第一にしっかり動いてくれたらと思っている」

 一方で…

・堀内大輝キャスター
「大きな檻の中にライオンでしょうか、ライオンの姿があります」
「これはオオカミ、オオカミでしょうか。動物はまだこちらで生活しているようです」

引っ越し先が決まらない動物たち…課題が残されたままの動物園を「もうひとホリ」します。

・貴田岡結衣記者(28日)
「ノースサファリサッポロ最後の週末です。今日も親子連れや観光客グループなど賑わいをみせています」

 休日で最後の営業となった28日。別れを惜しんでか、家族連れの客が多くみられました。

・福岡県から
「ライオンの餌やりもした 蛇を首に巻くのが新鮮でよかった」
「ここでしか体験できないことがたくさんあったので楽しかった」

・美唄市から
「閉園前ということで、家族初めてなんですけど来させてもらった」
「触れ合えるとは聞いていたが予想以上のふれあいがここにはあった」

2005年にオープンした「ノースサファリサッポロ」。

 ライオンへのエサやりなど、動物と間近で触れ合えるのが特長で、「日本一危険」な動物園として、のべ200万人以上が訪れました。

 しかし、開園当初から市に許可なく施設を建てていることが明るみとなり、再三の行政指導の末、運営会社は9月末で閉園し、すべての建物を撤去することを決めました。

閉園が迫った28日、上空から見てみると…

 ・堀内大輝キャスター(28日上空ヘリ)
「これは撤去した柵でしょうか、骨組みがむき出しになっています」
「倉庫でしょうか。建物のわきには資材などが無造作に、いろいろな備品や資材でしょうか、そういったものが積み重なっているのが確認できます」
「閉園に向けた撤去される作業が進められているということでしょうか」

閉園の準備が進んでいるようにも見える、その一方で…

・堀内大輝キャスター
「オオカミでしょうか、3頭ほど姿が確認できます。動物はまだ生活しているようです」
「大きな檻の中にライオンの姿が見えます。危険動物ですがライオンがまだ残されているのが確認できました」
「ふれあい動物園でしょうか、ポニーの姿が見えますね。こちらにも人が集まっています」

 札幌市によりますと、飼育されていた640頭のうち、半数ほどの319頭が園内に残っています。

懸念されるのは、ライオンなど、人に危害を加えるおそれがある「特定動物」ですが、移動先は公表されておらず、受け入れ先の確保が難航しているとみられます。

こうした状況を受け、付近の町内会の会長らが30日午後、市役所を訪れ、違法建築物の撤去や飼育されている動物の移動について、市に監視を強化するよう要望しました。

 ・札幌市開発指導課 坪田修一課長
「我々としては今回の要望を真摯に受け止めた上で、今後の対応に取り組んでいきたいと考えています」

・豊滝中央町内会 小嶋幸一さん
「違法建築物と動物に関して町内の関心は非常に高くて、大きな動物がすぐにいなくなることは多分ないだろうと。速やかに問題を解決してほしいだけです」

■ノースサファリサッポロをめぐる経緯

堀啓知キャスター:
20年で閉園ということですが、その理由が残念ではありますね。これまでの流れを振り返ります。

堀内大輝キャスター:
ノースサファリサッポロがオープンしたのは2005年。オープン時、すでに、建物が違法に建築されていました。札幌市は撤去を求め、指導や勧告を行ってきましたが、その後も、建物の違法建築が広がってきました。

今年2月、札幌市が法律に基づく施設の「除却命令」を検討していることが明るみになりました。

運営会社は「法令上の問題を重く受け止める」として、30日閉園することになったのです。

■閉園しても課題山積

堀キャスター:
閉園しても課題はまだまだ残されていますね。

堀内キャスター:
閉園を迎えたいま、大きな課題はこの2つです。1つは建物118棟を撤去できるか?それから建物撤去の前提として、動物319頭をどうするか?

建物に関しては、運営会社が2029年末までにすべて撤去する方針を示しています。

また、動物については、札幌市が30日付けで運営会社に対し、動物の移動先やスケジュールを10月末までに、市に提出するように指導しました。

■HPでコメント「動物達の受け入れ先についても調整が進んでいる状況」

堀キャスター:
動物たちの移動先が明確にならないまま閉園することになったのですね。

堀内キャスター:
ノースサファリサッポロは29日付けでホームページにコメントを発表しました。

「建物に関する法令違反により長年支えてくださったお客様やファンの皆様のご期待を損なう結果になってしまったこと、深くお詫び申し上げます」
「厳しい自然の中でも動物たちを守り、育み、共に歩んでこられたのは、20年間変わらず応援してくださった皆様のおかげです」

「動物たちの飼育費や今後の飼育環境につきましては、企業様・個人の皆様からの心暖まるご支援を頂戴し、動物たちの安全や飼育環境に問題はございません」

「今後の動物達の受け入れ先についても調整が進んでいる状況です」

■動物たちは今後どうなる?

堀キャスター:
動物たちは具体的に今後どうなるのでしょうか

堀内キャスター:
HBCが関係者に取材したところ、運営会社のサクセス観光が2024年1月、現在のノースサファリサッポロの近郊に土地を購入していたのですが、この土地を、動物の移動先の候補とすることで引き続き検討が進められていることがわかりました。ただ…

こちらの土地も「市街化調整区域」で、市の担当部署は「現在のノースサファリサッポロの違法建築物の撤去が終わらない限り、新たな土地に建物を建築する許可を出すことは難しい」との見方を示しています。

堀キャスター:
違法建築物の速やかな撤去と動物の安全をどう両立させていくのか。市は今後の状況を注視していくとしています。